進化と保守


社会や自然の本質は保守的である。
それ自体が維持を目的として
秩序という意志を発生させるのであるから、
それは本質的に保守的にならざるをえない。


イノヴェーション、エヴォリューションは何故起こるのか。
市場における新興企業による新しい分野の開拓、
新しいアクターの登場が社会を変質させる。
その変質の過程において
新たな秩序が自生的に現われる。


その枠内においてその秩序が隅々に行き渡り、
個とは関係なく社会全体が、自然環境が変異する。
植物に於ける遷移。
種が成長する事で生じた環境の変化が、
種そのものを入れ替えさせる不可逆的サイクル。


極相は存在するか。
個体ベースの弱者強者の判断は秩序に影響しない。
変質は自発的、随意的なものではない。
参入によってパイの分配量、分配式が変わる。
著しい変化は大抵の場合死滅という結果を残す。
クラゲは海水温の低下で自然死滅する。
個体種の移動域には限りがある。


独占形態はもっとも最適化した状態であるが、
環境の変化にもっとも弱い。
適合性と選択は異なる。
いかなる社会と言えども
顔を合わすたび殺し合う事が無いように、
どのような社会も秩序力を持っている。


自然においても同様であるが、
激しい抗体反応が個体を死滅させるように、
その秩序力は大きければ大きいほど
激しい変容を引き起こす。


結果として外野には秩序が著しく乱れているように見える。
秩序は移植されない。
何故単一の形態が現われないのか。
合理的選択は本当にあるのか。


資本主義はむしろ本能的なのであって、
そこでおこる競争というのは
自然とは真逆の性質なのではないか。
長きに亘って我々を抑止してきたものを
取り外したのが自由の思想なのではないか。


資本主義の倫理は本質的にアンチモラルなのである。
理性とは何かを生み出す積極的なものなのではなくて、
何かを止める消極的なものに過ぎない。
変化は理性(合理的に)によっては起こらない。