ぼんやりと


先日押入れから出したばかりの
炬燵で茶をすすりつつ、
世は全て事も無し
と念仏を唱えるように独り言。


方法論的関心と実質的な諸結果は反比例し、
数学者のアンリ・ポアンカレは、
科学を「最も多くの方法をもちながら
最も少ない結果しか産出しないもの」
と皮肉っぽい調子で評している。
今日のネット上に限らず、
諸々の言説を眺めていると、
似たような感慨を持つ。


方法論ばかりが精緻に構築されるが、
具体的に何かを生み出すというわけでなし、
ただ単に事実を分析するに堕する。
これは頓に社会科学の分野で多い。
100年以上前にF・ニーチェが、
学問とは数学と解釈学の事だと
何と言うか、反応に困るくらい
とてもぶっちゃけた事を
暴露してしまっているが、
実際その様になりつつある。


経済学は最早コンピューター無しでは成り立たない、
それこそ情報工学に近いものになっているか、
あるいは金融工学にシフトが移っている。
要するに数学の領域に寄りつつあり、
社会科学は今や解体の危機といったところで、
残り物は文学とか思想史に近い
位置付けになるのだろうか。
こうなると普遍的法則を探求すると言うよりは、
文献学と解釈学に近くなっている。
今や知性に特権的な地位が
認められている訳ではないから、
これから斯界は益々難儀な事になるのであろう。
なむなむ。