平均化の時代

【週末読む、観る】東大生は何読んでる? わが国の最高学府、東京大学の学生は今、どんな本を読んでいるのだろうか。「やはりこの時期、(平成20年版が出そろった)六法や話題のミシュランガイド、そして就職関連の書籍がよく売れている」と山田宏和店長。…

良心と倫理

日本の言論というのは、 素人玄人の違いを抜きにしても、 感情と美意識を根底に 個人的な良心と倫理の不均衡で 彩られているように思われる。 元より社会的関心抜きに 個人的良心など成り立つはずがないし、 あるいは個人的良心を顧みない 倫理は狂信と区別…

ぼんやりと

先日押入れから出したばかりの 炬燵で茶をすすりつつ、 世は全て事も無し と念仏を唱えるように独り言。 方法論的関心と実質的な諸結果は反比例し、 数学者のアンリ・ポアンカレは、 科学を「最も多くの方法をもちながら 最も少ない結果しか産出しないもの」…

徴兵制云々

どこぞのポピュリスト知事が 思い付きで徴兵制について発言したところ、 あたかも燎原の火の如く、 瞬く間にネットと各メディアに 反発と軽蔑を撒き散らされた。 その場のノリでこのような発言をするのは、 確かに言語道断ではあるのだが、 必ずしも非現実的…

ようこそ幻滅の時代

野球で韓国チームがずるをやらかしたとかで、 ネット上で話題になっていたが、 最近、韓国に行った知人によると 急速に韓国もポストモダン化しているらしく、 若い連中はすっかりしらけてしまっている。 当たり前だが、社会の権力を握っているのは、 中高年…

「赤木智弘」論とその周辺

何れ本館でしっかりとした 批評を書く予定では居るのだが、 道筋を付けるべく、 いくつかの覚書を残して置く。 散漫な筆を振るうが、 覚書という性質上、 読まれる方は諒とされたい。 http://d.hatena.ne.jp/t-akagi/20071204 キャンペーン・ブログにまた新…

修正主義について

修正主義という言葉は、 ファシズムと同じく 最早罵倒語としてしか用いられないが、 原義に即せば必ずしも悪い言葉ではない。 要するに「re-vision」見直すのである。 この言葉はいわゆる右派に対して、 あるいはより端的に言えば、 「つくる会」の教科書に…

「おたく」

「おたく」と呼ばれる人々は、 「もの」にこだわる人々なのか、 それとも「こと」にとらわれた人々なのか。 前者であれば物欲の延長であろうが、 「おたく」と呼ばれる人々において、 物欲が乏しい人間を見つける事はむつかしくない。 その行為は受動的とい…

ピエテートと知識人について

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2007/11/post_00f6.html まだやってたのか、 というのが率直な感想だが、 このマックス・ヴェーバーの 「ゴシップ」の是非は置いておくとして、 実際、ヴェーバーという人は 「愛」という言葉を使わない。 …

本と装丁

未だにHPは更新されていないようだが、 ようやく近くの書店でも 『福田恒存評論集』が棚に並んでいた。 それなりに大きい本屋なのだが、 一冊だけのようで棚にぽつんと縦置きされていた。 棚の下の平台に吉本隆明の新著が 平積みされているのを見ると、 ぼ…

クローズアップ現代 NO.2503

11月29日(木)放送 プーチンは“皇帝”になるか 〜ロシア下院選・大国の行方〜 12月2日のロシア下院議員選挙。主役となっているのは、来年で任期切れとなるプーチン大統領だ。与党の比例代表名簿の1位に名のりをあげ、首相就任を睨むなど、退任後も実…

福田恒存評論集

昨日発売日だったのだが、 近場の大型書店にはまだ入っていないらしく、 アマゾンも当日から在庫切れ扱いになっていて、 おそらくは納品が遅れているのだと思われる。 http://www.amazon.co.jp/gp/product/4892055484 (追記:これを書いている最中に入ったら…

むなしさの周波数

「ブログがつまらない」とかどうとか、 そういう“つまらない”議論があるらしいが、 そんな事で言い合っていて 空しさを感じないのだろうか。 ブログを書く事には頭を使うが、 知性はとりたて特別な地位を占める訳ではない。 独りで飯を食っている時に感じる…

エゴイズムという迷宮

最近の若い人々というのは、 年寄りが思っているほど切れやすい訳ではなく、 むしろやさしい人が多いような気がする。 アルバイトの若い店員の接客は大抵丁寧だし、 切れるというのは別段若い人に限らないし、 大体、元々我が民族は切れやすいらしく、 戦国…

「帝国」と「Empire」

ラテン語に語源を持つ「Empire」という言葉は、 通例、「帝国」と訳されてきたが、 場合によってはむしろ「単一制」 とでも訳した方が適切なのではないかと思う。 「帝国」という漢語と 「Empire」という英語とでは、 意味も成り立ちもまったく違う。 やはり…

拉致問題と言論について

「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」 通称「家族会」の横田滋代表が辞任せられ、 副代表の飯塚繁雄氏が新たに代表となった。 拉致問題が国民的一大問題と認識するに至ったのは、 地道な活動を行ってこられた 横田前代表の働きによるところが大きい。 病身…

ディベートなんていらない

どういう経緯か知らないが、何時の間にやら ディベートなるものが持て囃されて、 大学の講義などでも導入したりしているそうだが、 あんなもの一体何の役に立つのだろう。 トピックなり、イシューなりを策定して、 それに反対か、賛成かなんて、 お遊戯のデ…

市民という言葉

しっくりこないが、 世間的には定着してしまった言葉に 「市民(社会)」とか「国際社会」、 という言葉がある。 後者の方は実にヘンテコな言葉で、 国際関係論の二大思潮、 リアリズムとリベラリズムのどちらも 「国際社会」をアナーキーと見ることに もはや…

外来魚

今上が皇太子時代に持ち込んだとかで、 最近また外来魚が話題になっているが、 養殖とかの実験は今でもやっているんだろうか。 鯰とかがそうなのだが、 水質の調整や餌を変えたりすると、 生臭さが抜けて食べやすくなる。 ブルーギルの方はちっちゃくて食い…

二つの自由主義

結局の所、自由主義というものは、 19世紀に根本的な面において完成してしまった、 あるいは進歩をやめてしまったのではないか。 より、挑発的に言えば、20世紀の諸革命、 即ちファシズムとコミュニズムというものは、 この自由主義に対する反逆であり反動で…

粘菌のように

トラックバックを飛ばしたつもりが、 何故か飛んでいない。 前回の書いてる最中にログアウトされたりと、 ついてないのか、それとも我輩が悪いのか。 まあ、今日日、 カウンターやらリンクやらで 被言及は先方にすぐ伝わるから、 後から送るのもあれだが、 …

あんパンなんていらない。(Ver.Teazated)

あんパンは悩んでいた。 自分が本当にパンと呼べるのかを。 本当は饅頭じゃないのか。 単にあん饅頭を焼いただけじゃないのかと。 食パンは悩んでいた。 パンの耳も食パンと言えるのか。 パンの耳のない食パンは一体何なのか。 カレーパンは悩んでいた。 カ…

竹内好「近代の超克」

「近代の超克」関連の本を趣味で読んでいるのだが、 やはり竹内好のものが一番読んでいて面白い。 要するにアジアにおいて思想枠の不在は ごく“普通”のことに存するのにも関わらず、 西洋思想との接触との結果、 (それは特殊ヨーロッパ的な思想枠に過ぎない…

じんせいうまくいかない

書いている間に勝手にログアウトされてしまったらしく、 登録ボタンを押したら見事に消えてしまった。 まあ、この間みたいに怒り出す人が出そうな 内容だったし消えてしまってもいいか。 成功失敗にかかわらず世は全て事もなし。 しゃんめえ、しゃんめえ。

ぜつぼうごっこ

量は質ではない。 質は量ではない。 実に当たり前なことであるが、 言葉に限って言えば、 それは容易に混同されるようである。 多くの言葉を知っていても、 適切でなければ何の意味もないというのに。 絶望やら非難やら罵倒やらが、 物を変え場所を変え、 あ…

議論における中立性と多様性

「ジェンダー」という言葉自体は比較的新しい言葉であるが、人間の本性を自然と社会との二つに分けたルソー以来、発想としてはそう目新しいものではない。自由主義や仏啓蒙思想の平等主義を源流とする歴とした近代思想の一つである。但しそれは一つの視点に…

オルテガ『大衆の反逆』

目ぼしい書評をグーグル先生に見繕って貰った所、 「大衆」の暗黒面を強調した理解が多い。 思うにそれは読みが浅いのではないか。 『大衆の反逆』のオルテガは、 以下のような「近代」解釈をしている。 近代文化への信仰は悲しくも淋しい信仰であった。明日…

凡庸なあまりに凡庸な

満を持してと言うよりは今更な気がしないでもないが、 宮台真司氏が赤木論文に対するコメントを出されておられる。 「赤木智弘著『若者を見殺しにする国』(双風舎)へのコメント」 http://www.miyadai.com/index.php?itemid=579 http://sofusha.moe-nifty.c…

軽い時代の軽い知性

軽い時代には軽い思想しか流行らないのかもしれない。 学生運動を経験した世代の 教条主義にもうんざりさせられるが、 それ以降の軽い知性にもげんなりする。 若手の評論家が書いた 石原莞爾についての本を紐解けば、 未だに関東軍の電撃戦のイメージで彩ら…

ことば、コトバ、言葉

石原都知事という人は直感的な人物らしく、 しかも根が直情的だから しょっちゅう舌禍事件を引き起こす。 随分前にフランス語は国際語失格だのと言って、 裁判沙汰になったことなどその典型であった。 ただ、あの事件において、 フランス語が国際語として失…