2007-01-01から1年間の記事一覧

議論における中立性と多様性

「ジェンダー」という言葉自体は比較的新しい言葉であるが、人間の本性を自然と社会との二つに分けたルソー以来、発想としてはそう目新しいものではない。自由主義や仏啓蒙思想の平等主義を源流とする歴とした近代思想の一つである。但しそれは一つの視点に…

オルテガ『大衆の反逆』

目ぼしい書評をグーグル先生に見繕って貰った所、 「大衆」の暗黒面を強調した理解が多い。 思うにそれは読みが浅いのではないか。 『大衆の反逆』のオルテガは、 以下のような「近代」解釈をしている。 近代文化への信仰は悲しくも淋しい信仰であった。明日…

凡庸なあまりに凡庸な

満を持してと言うよりは今更な気がしないでもないが、 宮台真司氏が赤木論文に対するコメントを出されておられる。 「赤木智弘著『若者を見殺しにする国』(双風舎)へのコメント」 http://www.miyadai.com/index.php?itemid=579 http://sofusha.moe-nifty.c…

軽い時代の軽い知性

軽い時代には軽い思想しか流行らないのかもしれない。 学生運動を経験した世代の 教条主義にもうんざりさせられるが、 それ以降の軽い知性にもげんなりする。 若手の評論家が書いた 石原莞爾についての本を紐解けば、 未だに関東軍の電撃戦のイメージで彩ら…

ことば、コトバ、言葉

石原都知事という人は直感的な人物らしく、 しかも根が直情的だから しょっちゅう舌禍事件を引き起こす。 随分前にフランス語は国際語失格だのと言って、 裁判沙汰になったことなどその典型であった。 ただ、あの事件において、 フランス語が国際語として失…

赤木論文に関する覚書

『チャトランガ夫人の恋人』というブログの 「まったりするにも金がいる」*1と題したエントリで 「赤木論文に応答すべきだったのは、佐高信や福島みずほではなく、宮台真司だったのではないか。しかし、弱者男性の情緒を煽ることで自分のスタイルを確立して…

現代の思想風景について

「思想狂いは亡国の兆し」。こういう皮肉をたれたのはニッコロ・マキアヴェッリであったろうか。実際、古代ギリシアのアテネにおいてソクラテス、プラトン、アリストテレスといった哲学者達が綺羅星のように現れたのは国が傾きつつあった時代であった。ソク…

「ケータイ」文化と若い世代

この頃は馬鹿の事を「ゆとり」という風に 腐すのが流行のようである。 権威を馬鹿にして茶化す現代の江戸っ子、 2ちゃんねらーの中の人たちも、 10代の携帯電話を中心とした、 絵文字顔文字の表現、 所謂「ケータイ小説」などに関しては、 かなり辛辣に揶…

二党制について

民主党の小沢代表は随分と先走ったが、 まあ、分からない話でもない。 93年の非自民連立政権から14年、 2000年の自自公から7年ぐらい経つから、 政権(自民出身者も含め)を経験したことのある議員が どんどん引退してしまう頃だろう。 15〜20年…

ニコニコ動画について

我輩が定期的に読んでいるブログの幾つかは 最近ニコニコ動画の紹介や それに関する考察に特化していて、 自然にそれらを巡る問題も ネット上の流行に疎い我輩も知る事になった。 以前に本館の方のエントリで ネット上のコミュニティの有り様に関して、 それ…

晨と夕

池袋駅の長く入り組んだ薄暗い通路にぼさぼさの髪をした浮浪者が枯れ枝のような手で膝を抱えて座り込んでいる。生気の失せた黒い眼を通行人に向けているが、視線を交わす通行人は一人も居なかった。ここでは誰もが頭を上げて歩いているが、彼らは何を見てい…

上野辺りを逍遥

上野界隈をぶらぶら歩く。 アッチ方面に興味のある人なら知っているかもしれないが、 上野にはゲイ・コミュニティーがあって、 何でも闇市の頃からあるらしい。 まあ、今日死語と化したパンパンの陰間版。 進駐軍相手の男娼が世上の安定にともなって、 山か…

日本の天地は複雑怪奇

現状において政権を獲得維持する事が 可能であるにも関わらず、 福田首相が大連立を打診されたのことであるが、 政権構想をある程度摺り合わせる事もせずして、 このようなことをお考えになるのは理解に苦しむ。 仮に連立工作が成功したとして、 これではま…

現実と迷信

占いは良く当たる。 ただし、主観的事実として。 客観性が皆無と言うだけの事だ。 当たらぬも八卦、当たるも八卦である。 迷信を愚昧であるとして退けるのは良くない。 この世に確かな物など何も無い。 無い故に人は確信をもって語ることを欲する。 また、そ…

雅号とHN

かなり古いネタであるが、極東ブログの 「[書評]ウェブ人間論(梅田望夫、平野啓一郎)」に対して、 http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2006/12/post_a97b.html 著者の梅田さんがこういう形で返礼されておられた。 http://d.hatena.ne.jp/umed…

動機など気にしない方がいい

常々思うが世人やマスコミの中の人たちは どうしてああも動機にこだわれるのであろうか。 あるいはこれは日本人全体に言える事なのかもしれないが、 動機や原因を突き詰めて悩む事が 良い事だと思っている節がある。 精神病やカウンセリングなどでも言える事…

近代精神

資本主義の精神は前近代社会の倫理の 否定の上に成り立っている。 マックス・ヴェーバーの指摘した プロテスタンティズムの倫理だけでは不十分である。 資本主義の精神は三つの支柱によって成り立っている。 第一は、ヴェーバーの指摘した勤労のエトスである…

カタカナ表記についての断章

先日、かつて仰いだ師の本の書評を漁っていたら、 どうしてこの人(私の師)は ルビに日本語読みをふるのだろうか、 「ぼくせいき」とか時代錯誤でテラワロス(意訳) という風にあるブログに書かれていた。 さらに似たような話が 言葉に敏感であるはずの作…

ユンダム第4話

第2話で強襲揚陸艦(上陸作戦用の空母)らしき艦船1隻に、 駐屯基地を爆撃された挙句、MS部隊を壊滅させられた上に、 3話でもう1回フルボッコにされるという 損な役回りの偉大な中華帝国もとい人革連の 毛総書記もどきが切れてはじまる第4話。 ちなみに…

進化と保守

社会や自然の本質は保守的である。 それ自体が維持を目的として 秩序という意志を発生させるのであるから、 それは本質的に保守的にならざるをえない。 イノヴェーション、エヴォリューションは何故起こるのか。 市場における新興企業による新しい分野の開拓…

初音脳

スーパーで長葱を買った帰りに葱を振りつつ 「Ievan Polkka」を無意識に口ずさんでいた。 うむ、みっくみくにされてしまったようだ。 (オチはない)

『スクールデイズ』と怖い物見たさ

昔、知り合いの女と話していて、 どういう経緯でそういう話になったのか忘れてしまったが、 昼ドラのドロドロ男女関係について話した。 そこで彼女が 「ああいう(展開やドラマ)のを好むのは、 そういうことを経験したことがない人だ」 と言っていて、 いや…

知識人と刃物

今昔を問わず、 知的な影響を受けやすい人々というのは、 新しい言葉や概念が好きなようである。 その様子はあたかも 初めて小刀を持った子供のようで危なっかしい。 万能ナイフのように何でも切れると思い込んでいるから、 刃がどんどん欠けていく。 始末が…

NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者 失踪の謎〜」

中々面白かったのだが、 グーグルおじさんに詳細をたずねると、 これはNHKハイビジョンの簡略版という解答が得られて、 少々気分を損なう。 ある人が現代の労働者を、 正社員、派遣(契約)、バイトの 「プロレタリアート三層構造」などと茶化していたが…

暴走機関車

『暴走機関車』という作品を見る。 黒澤ファンには曰く付きの映画。 しかし、案外面白い。 これを黒澤で見たかった。 原案、脚本はほとんど黒澤監督のものらしい。 某レビューサイトに載っていたが、 徹底したヒロイズムの排除をした映画だった。 どうしよう…

ガンダム00 ep.3

ユンダムも3話まで来たのだけど、 いまいち「これは」と言うほどには面白くないなあ。 まずもって、世界設定がややこしい割に説明不足だし、 ヒロインが空気化(今のところ1コマ1セリフのみ)しているし、 24世紀の割にやけに21世紀臭い世界観。 設定…

ブログとSNSについて

ブログとSNSに関する省察の覚書。 思い付き故にさほど深いものではないし、 技術的な話も出来ない。 あしからず。 ネットに関して「ウェブ2.0」だとか そういう議論が為されているようだが、 我輩はそうした議論にあまり関心を持たない。 白黒テレビがカ…

『銃とチョコレート』(乙一)

ひらがなが多くて読み難いという 意見を聞いていたが、実際、読み難い。 日本語は同音異義語が非常に多い。 これは漢語由来の熟語に指摘される事が多いが、 漢語とは関係無い語彙においても散見される。 これはおそらく日本語の音に 母音が多いためではない…

天城忌

憲政記念館に最近「尾崎行雄メモリアルホール」が出来ていたが、 我輩はむしろ我が国の「憲政」史上、 最も讃えられるべきは斎藤隆夫であったと思う。 (嘆かわしいことにはてなのキーワードにすら登録されていない) 確かに尾崎の 「玉座を以て胸壁となし …